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​  山重の想い  土味について

私の思う信楽焼の特徴は、何と言っても「土」にあります

大物作りに適した信楽土は、古い琵琶湖の地層が隆起したもので、ねばり

が強く良質なため、少々無理をした造形にも耐えてくれ、大きな物から小さな

物まで、何でも作れる素晴らしい土です。「大物陶器」が信楽の地に根付い

たのは、この良質な粘土が豊富に出土したからなのです。

その昔、山から掘って来た粘土そのままで作られた品物は、長石や硅石の

粒が混じった物、それが又、大きな甕(かめ)や壺(つぼ)には良い効果をあら

わしました。 石爆(は)ぜのあるザラザラした表面は、地面を踏み締めた様な

質感で、焼き物でありながら「柔らかさ」や「あたたかさ」を感じます。この土味

(つちあじ)こそが信楽焼の大きな魅力であると思うのです。

そして今、その土味(つちあじ)をそのままに受け継ぐ者と、新しい創作に取

り組む者がいます・・・・・・

如何にもザラザラとして扱い辛そうな器たち

に見えるけれど、そこには何か引き込まれる

魅力があります

小石の混ざった土で、作り上げられた陶器は、磁器やガラスに比べモロく、

吸水も多いので食器に相応しいとは言えないのかも知れません。でも逆手に

とれば「保水性」、「保温性」、「柔らかい感じ」、と言った違った一面を持って

いるのです。

今、皆様の周りにある物の中で、失われつつある自然素材の「感触」や「風

合い」を新しい感覚で伝えて行きたいと、私なりの『しがらき土味』を模索して

います。・・・・・

私の考える、新しい私の信楽焼を、私は作ります。

そして、それを使っていただく皆様の生活に、やすらぎと喜びをもたらすこと

が私たちにとって最上の喜びなのです。

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